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MINI史上最速のJCW GPが早速入庫!ミニ専門店の目線でマニアックに解説してみます!
昨今のミニの話題の中でも特に注目を集めたニュースが、MINIジョンクーパーワークスGPの登場ではないでしょうか。コンセプトモデルの登場から2年も経ってからの市販化という事で、GPの登場を待ち望んでいたファンも多いと思います。
昨年に日本国内限定240台が受注開始となりましたが、抽選に通った運のいいオーナーのもとへ2020年の6月頃から納車が始まったようです。まだほとんど目にする機会のない特別なモデルだけに「街で出会えたらラッキーだな」「iRでも中古車として入ってこないかなぁ」なんて考えていた矢先・・・
なんと、自動車販売業者向けオークションで中古車市場に出現!!
iRで買い付けることができてしまいました!まさか240台限定モデルが、こんなにも早くiRへやってくるなんて!
早速ブログで紹介しようと思いますが、多数のメディアに試乗レポートや紹介記事が出ている中で、一般的なスペックの紹介をしても今さら感がぬぐえませんので、今回は普通のメディアでは取り上げないミニ専門店ならではのマニアックな目線でMINIジョンクーパーワークスGPの詳細をお伝えしたいと思います!
関連ブログ:MINI史上最速最強のF56JCW GPはここが進化した!
INDEX
ジョンクーパーワークスGP(F56)の特徴
先ずは、GPを詳しく知らない方のために、モデルの概要から紹介したいと思います。
公道を走行可能な英国ブランド車として最速のモデル
ニュルブルクリンク北コースで先代モデルよりも約30秒早い8分以下のタイムを記録
モータースポーツの技術を広範に使用
最高出力306PS、最大トルク450Nmにより、0-100km/hは5.2秒を実現
全世界限定3,000台の限定生産、日本へは限定240台を導入
(BMW Group PressClub Japanより)
F56JCW GPの主な特別装備
- 最高出力306PS (225kW)、最大トルク450Nmを発揮する高性能エンジン
- トルセンLSD搭載の8速スポーツ・オートマチック・トランスミッション
- 軽量鍛造18インチ ホイール及び、225/35スポーツタイヤ
- 専用サスペンションとキャンバー角の最適設定化
- スポーツ・ブレーキ・システム
- ボディ・カラー「レーシング・グレー・メタリック」
- カーボン製ホイール・アーチ・カバー
- 専用リア・スポイラー
- 専用デジタル・メーター・クラスター
【スペック表/ノーマルJCWとの比較】
|
ジョンクーパーワークスGP(F56) | ジョンクーパーワークス(F56) |
---|---|---|
全長 | 388cm | 387cm |
全幅 | 176cm | 172cm |
全高 | 142cm | 143cm |
排気量 | 1,998cc | 1,998cc |
最高出力 | 306ps | 231ps |
最大トルク | 45.89kg-m | 32.63kg-m |
※ボディサイズは車検証記載の数値
ベースモデルとなるJCWより最高出力を75PS(55kW)アップさせ最高出力306PS (225kW)、最大トルク450Nmを発生。2リッターエンジンとは思えないほどのパワーです。FFで300馬力以上のパワーを受け止めきれるのか!?と思ってしまいますが、トレッドの拡大やエアロパーツ、サスペンションやブレーキの強化、LSDの装着など、強大なパワーを受け止めるためトータルで専用のチューニングが施されています。
個人的に着目したいのはLSDの採用でしょうか。ノーマルJCWはどうしてもオープンデフとDTC(ダイナミックトラクションコントロール)の組み合わせなので、サーキットでインリフトするような限界領域では内側が掻いてしまうケースがあったのですが、LSDのおかげで更なるトラクションUPが期待できます!
完全にサーキット走行を視野に入れているあたり、GPは中途半端なパワーアップモデルとは訳が違いますね!
では、実車をみながら特徴を紹介してみたいと思います!
外装の特徴
威圧感あるフロント周り!
ボディカラーはGP専用となる『レーシンググレーメタリック』。カラーは全くの新色ですが、色合いは過去のGPモデルのイメージを踏襲しています。
写真の奥に見えるのが先代(R56)のジョンクーパーワークスGP。こちらのカラーは『サンダーグレー』。
見比べると新型のレーシンググレーが明るい色合いに見えるかと思いますが、見る角度によっても色合いが変化します。
チリレッドで塗られているフロントバンパーはかなり張り出しの強い形状。一見すると通常モデルのバンパーを赤くしただけに見えますが、内側の形状がスムージングされており、空力を考えられていることがわかります。
左右のスプリッターも、オプションのJCWエアロアップグレードキットに近い形状ですが、フェンダーに合わせて大型化されています。
グリル内側のバンパー部分も通常モデルではブラックの「つるん」とした形状ですが、GPではハニカム構造のメッシュが全面に広がったデザインになっています。
ボンネットダクトやエンブレムもブラックに変更され、通常モデルではメッキのフロントグリルやヘッドライトリングもGPではブラックで統一されています。
ボディカラーも近くで見るとメタリックの粒子が大きく、立体感を感じるほどに深みある色合いです。
バンパーの左側にはダクトが空いており、オイルクーラーが設置されています。
このオイルクーラー、通常グレードのJCWにも搭載されていたパーツですが、LIC(マイナーチェンジ)にあわせて廃止されていました。しかし、GPでは復活しておりパワーアップに合わせてクーリング性能も向上しています!
リア周りもエアロデバイス多数!
デカいです。とにかくデカく、ひと際目を引くリアウィング。大きく左右へ張り出しており、かなりの威圧感です。
内側がチリレッドに塗り分けられているあたりは、専用品だけあってかなり凝った作りですね。写真だと分かりにくいですが、上側にはガーニーフラップまでついています。見た目のインパクト以上に、空力に考慮した形状となっていますね。
テールライトはLCI後のユニオンジャックデザイン。ですが、通常モデルと違いレンズ自体もブラック(スモーク)デザインに変わっています。
エキゾーストパイプも通常モデルとは形状が異なるステンレス製。デザイン自体はシンプルで、あえて斜めの切り上げやカーボン等の派手なフィニッシャーを付けず、ストレート形状のステンレスパイプとしているあたりはレーシングカーらしい無骨さを感じるデザインです。
リアバンパーもGPの専用形状。先代(R56)のGPではディフューザー(アップスイープ)が搭載されていましたが、F56のGPのバンパーを下から覗いてみると・・・、
フロアからつながるディフューザーは装備されていませんでした。F系になり大型化したマフラーのタイコ部分をかわすためでしょうか。先代(R56)GP用のディフューザーはノーマルモデルに後付けするケースが多かった人気パーツだけに、個人的にリアディフューザーの形状は気になっていたのですが、ここは少し残念です。
ただ、F56はR56に比べてアンダーパネルが多く配置されたフラットなフロア形成がされているので、空力特性自体はR56よりも向上してます。
カーボン製のフェンダーを装備!
GPで一番目を引くパーツはこの大きく張り出したフェンダーではないでしょうか。
カーボンファイバーを使用し、ハンドメイドで成型とのこと。繊維の形がそのまま見えるデザインですが、うっすらとグリルと同じハニカムデザインが入っています。
大きく書かれている「0316」という数字は個体ごとに割り振られたシリアルナンバー。316/3000という事で、こちらの車両は比較的若い個体だという事がわかります。
さて、この大型のフェンダーですが、スムージングされおらず上から被せたような形状をしています。中を覗いてみると・・・、
フェンダーの内側はフィンのような形状になっていました(実際に空気が通る穴が開いているわけではありません)。
この隙間を見て、ついつい「洗車するとき大変そうだなぁ」なんて考えてしまいました、笑
BMWのMモデルのようなブリスターフェンダーとせず、あえて上から張りつけたオーバーフェンダーとしたのはカーボンを生かした軽量化の意味合いが強いと思われます。
足回りもGP専用装備!
ホイールもGP専用の18インチ「JCW GPスポーク2トーン」。過去のGPモデルのデザインを踏襲しながらも、スポークはかなり薄く作られています。それもそのはず、こちらのホイールは軽量&高剛性な鍛造ホイール!
タイヤはハンコック製のハイグリップタイヤを装着。拡大されたフェンダーアーチ分だけ幅広のタイヤを履いており、タイヤサイズは225/35R18。3ドアのボディサイズで225幅のタイヤは相当グリップしそうですね。ただ、ハイグリップのスポーツタイヤだけあって、溝は浅め。ストリートで使用すると直ぐに無くなりそうなタイヤですw
サスペンションはノーマルJCWから10mmダウン。先代のGPは純正で車高調が装備されていましたが、新型に車高調整機能はなく、アライメントの適正化が図られているとの事。
ブレーキキャリパーもノーマルのJCWより大型化されています。
ただ、ローターがプレーンなのは意外でした。てっきりJCW proブレーキシステムキットのドリルド&スリットローターが装備されると思っていましたが、パッドとのマッチングでしょうか?
内装の特徴
F56jcw GP レーシンググレー – Spherical Image – RICOH THETA
インテリアの雰囲気はベースモデルと大きく変わりませんが、やはり室内もGPの専用装備が多数!
GP専用デザインのダイナミカレザーコンビネーションスポーツシート(ビニール被せたままですみません)が装備されるほか、金属性シフトパドル、助手席周りのインテリア・トリム・ストリップなどの3Dプリンターによる成形で作られた専用パーツが特徴です。
トリム・ストリップにはフェンダーと同じシリアル・ナンバーが刻印されます。
そして一番目を引くのは、コックピット目の前に鎮座するデジタルメータークラスター!
デジタルメーターは、マイナーチェンジ後のクロスオーバー(F60)や、日本未導入のクーパーSEにも搭載されますが、こちらは「GP」のロゴが入る特別仕様です!
センターメーターのイメージが強かったミニ。F系でセンターメーターが廃止され賛否ありましたが、ついにメーターもデジタル表示に。これだけでも室内空間がかなり先進的なイメージに変わります。
ちなみにこちらの車両の走行距離はわずか21㎞!オークションから中古車として仕入れていますが、実質は登録済み未使用車ですね。
メーターの中央にはデジタル表示のスピードメーターが見やすく表示されるほか、ナビゲーションの方向指示や半ドア時のワーニングも大きく表示してくれます。
ちなみにこのメーター、実車を見るまで表示はすべて液晶かと思っていましたが、よくよく見るとアナログメーターが内部に配置されており、針を光らせて表示させる作りになっていました。
トリップのリセットボタンが見当たらないなぁと思って探していたら、左上にボタンがありました。
シフトは8速ATを採用。残念ながらMTは採用されませんでした。DCTでもなくATが採用された理由は、強大なトルクにミッションがATじゃないと耐えられないから、との事。有り余るパワーを受け止め、耐久性にも考慮しているあたりはメーカーコンプリートカーならではですね。
エンジンマウント&ミッションマウントも変更されており、そのぶん変速ショックは大きめです。停止状態でシフトを試してみましたが、はっきりと音と振動が伝わってくるので、これだけでもスポーツマインドをかき立てられます!
最新のマシンですが、思わぬところにローバーミニとの共通点がありました。
驚いたことに、ドアにはサイドミラーの電動格納ボタンがありません。これだけ高額なモデルにもかかわらず、なんとミラーは手動です。ここも軽量化かな?
そういえば、過去に一度だけ海外仕様(左ハンドル)の5ドアハッチバック(F55)を仕入れたことがありましたが、その車もミラーは手動でした。狭い日本と違い、海外ではミラーをたたむ必要がないのかもしれませんね。
こちらはセンターディスプレイのメインメニュー。これを見て違いに気が付いた方はMINIオーナーか相当コアなファンだと思いますが、メニューのデザインが少し変更されていました。
ナビの機能自体は既存のタッチパネル対応ナビと共通ですが、どうやらLCI後のクロスオーバーと同一のデザインのようです。クロスオーバーもデジタルメーターが搭載されるので、ナビのソフトウェアが共通なのだと思われます。
AppleCarPlayにも対応しています。アームレストの中でスマホのワイヤレス充電も可能です。
さらにこちらの車両は追加オプションのリアビューカメラもついていました。
後部座席はありません!GPのトランクルーム
後部座席は無く、フロントのみの2シーターとなるのもGPの特徴。赤いシートベルトやクロスバー(タワーバー)も歴代モデルから踏襲しています。クロスバーは先代モデルと比べてかなり太いサイズになりました。これだけで剛性はかなり上がっていそうです。物干し竿みたいと言われていたこちらのパーツですが、これだけ太いとハンガーは掛けられそうにありませんね、笑
取り付け部分もリアスピーカーに一体化されたデザインになっており「取って付けた感」は一切ないとても洗練された印象です。
また、先代ではラゲッジスペース下部に小さい収納スペースがありましたが、こちらは新型では廃止されています。ラゲッジスペースのサイドには「GP」のロゴが内張りのシボをなくすことで描かれています。ディテールにもこだわっていますね!
エンジンルーム
最高出力306PSを発生するGPのエンジン!
吸排気のチューニングだけにとどまらず、なんとクランクシャフトやベアリング、ピスント、コンロッドなど、エンジンの内部まで手が入っています!
プーリーも軽量化され、オイルパンはコーナリング時のオイル偏りを防止する形状へ変更されるなど、完全にサーキット走行を意識しています。
エンジンは今時のクルマらしくカバーで覆われており、その姿を直接見ることはできません。ですが、カバー自体もGPの専用デザインが施されており、特別なモデルであることは一目みて伝わると思います。
派手なエンジンカバーについつい目が行ってしまいますが、エアインテークダクトも専用形状となっています。ノーマルモデルより立体的な形状となっており、内部を広げて吸入空気量が増えるように設計されているようです。
エアクリーナーボックスも大型化されており、ノーマルのJCWと比べてかなり膨らんだ形状をしています。
エアクリーナーむき出しタイプではなく、ボックス形状のままで吸気効率を高めているあたりは、流石メーカー直系のチューニングマシンといった感じでしょうか。
先代と同じく、ボディ剛性を上げるフロントストラットのタワーバーも取り付けられています。デザインは先代よりもかなりシンプルになりましたね。一見するとクラブマン(F54)やクロスオーバー(F60)に装着されている四角いタワーバーの流用かと思いましたが、よく見たらオーバル(楕円)形状になっており、GP専用品であることがわかります。
先代のR56ジョンクーパーワークスGPと比較してみる
日本国内の割り当て台数も限られており、かなりの希少モデルと言えるGPですが、ここで先代のR56JCWGPとの共通点や違いを見てみたいと思います。
R56JCW GP (2013年)
先代のGPは、2013年に世界2000台限定で販売されました。その内日本への割り当ては200台。カタログモデルのJCWをベースに専用チューニングが施され、最高出力は218PSにまで高められています。
フロント周りはチリレッドの配色や専用ステッカーこそ追加されますが、ノーマルJCWから大きな違いはありません。しかし、リアに装備されるドライカーボン製大型リアスポイラーやディフューザーなど、専用のエアロパーツで武装され、内装もリアシートが廃されタワーバーが装備されているため、2シーターとなり乗車定員は2名しか乗れません。
【歴代GPモデルの共通点】
- ツーシーター化
- 専用エアロパーツ
- エンジンのパワーアップ
- サスペンションの変更
- ブレーキの大型化
【新型F56GPと先代R56GPの違い】
|
F56JCW GP | R56JCW GP |
---|---|---|
販売台数(日本) |
240台 | 200台 |
全長 | 388cm(+1) | 377cm(+6) |
全幅 | 176cm(+4) | 168cm(±0) |
全高 | 142cm(-1) | 142cm(-1) |
排気量 | 1,998cc | 1,598cc |
最高出力 | 306ps | 218ps |
トルク | 45.89kg-m | 26.5kg-m |
※()内はノーマルJCW比/ボディサイズは車検証数値
コンセプトはどちらもサーキット走行を前提としたスポーツモデルのGPですが、新型はパワーアップの度合いが圧倒的です。ベースモデルに比べて+75ps!ここまで大幅なパワーアップされたのは今回が初めてです。まさか300psを超えてしまうとは!
また、新型GPでは、ボディサイズまで変更されることも大きいポイントですね。全長はリアディフューザーが装備される先代もベースモデルから大きくなっていますが、新型ではパワーを受け止めるためにオーバーフェンダーを装着してトレッドを拡大。更に225/35サイズのタイヤを装着。
更に駆動系にもチューニングが入り、LSDとスポーツATが組み合わされ、エンジンマウントやミッションマウントまで硬度がUPした専用品に交換されます。通常、乗り心地が悪化するパーツをメーカーが標準装着するケースは少ないので、ここまで過激なチューニングをしたマシンが市販車として買えるのはジョンクーパーワークスGPだけだと思います。
また、これだけのマシンがMINI正規ディーラーで点検を受けられる安心感も大きいですね!
ただいまiRでは合計3台のJCW GPを同時に在庫中!
現在iRでは、2代目(R56)GPを2台、新型(F56)GPを1台在庫中です。
恐らくこれだけのGPを同時に見れる機会はもう無いと思います!!
2020y F56JCW GP レーシンググレー A/T 21km
2013y R56JCW GP サンダーグレー M/T 22,000km
2013y R56JCW GP サンダーグレー M/T 7,000km
2代目モデルは5ナンバーサイズのコンパクトボディと、6MTの組み合わせ。自在に操る楽しさを味わうのであればMTモデルもアリですね!
新型GPは7月にオープンしたiR yokohamaにて絶賛展示&販売中です!
希少モデルですので、是非この機会をお見逃しなく!!
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