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新型クロスオーバーにプラグインハイブリッド登場!ディーゼルとどっちがお得か比べてみました
2017年7月、遂に日本でも販売開始となったミニクーパーSEクロスオーバー。MINIブランドでは初となるプラグインハイブリット(PHEV)搭載ということで注目を集めています。スペックについては以前にブログで紹介していますが、改めてその特徴と魅力を紹介したいと思います。
と言っても単純にモデルの詳細を紹介しただけではつまらないので、今回は既に登場しているクリーンディーゼルモデルと、どちらがお買い得なのかをミニ専門店の目線で検証してみたいと思います。
MINI史上初のプラグインハイブリット(PHEV)
今回登場したミニクーパーSEクロスオーバーALL4。1.5Lガソリンエンジンにモーターを組み合わせ、さらに外部電源からのバッテリー充電を可能にした『プラグインハイブリットシステム』が特徴です。
充電は自宅などに設置する専用充電器から行え、満充電までの所要時間は約3時間ほど。バッテリーの充電が尽きたとしてもエンジンで走行しながら自動充電してくれます。
搭載エンジンは1.5リッターターボで最高出力136ps、最大トルク220Nm。ハッチバックモデル(F56)のクーパー用エンジンと同一スペックながら、リアの電気モーターは最高出力88ps、最大トルク165Nmを発揮するので、エンジン+モーターのトータル最高出力/トルクは『224ps / 385Nm』に達します。
駆動方式はモデル名の「ALL4」が示す通り4輪駆動ですが、今までのALL4モデルと違い、ガソリンエンジンで前輪を、モーターで後輪をそれぞれ独立して駆動するシステムになっています。
エンジンとモーターは切り替えが可能で、インストルメントパネルに新たに追加されたeDriveのトグルスイッチを操作すれば、下記の3つのドライブオペレーションの選択が可能となっています。
AUTO eDRIVE
完全なEV走行。通常このモードに設定されており、最高速度は80km/h。これ以上の高速走行時、急加速時、積載荷重が非常に大きい際、またEVバッテリーの残量が7%未満の際には自動的にガソリンエンジンが始動。
MAX eDRIVE
完全なEV走行。最高速度は125km/h。これ以上の高速走行時、またはキックダウン時は自動的にガソリンエンジンエンジンが始動。
SAVE BATTERY
EVバッテリーは使用せず、ガソリンエンジンでの走行。また、ブレーキ回生システムにより走行中のエネルギーを電力に変換し、EVバッテリー容量の90%以上充電が可能。
EV走行モードでは後輪駆動(RWD)となるので、今までのMINIにはないドライブフィールを体感する事が出来ますね。
さらにドライビングモードも標準装備されており、「グリーン」「ミッド」「スポーツ」のモード切替もできるので、シーンに合わせ今まで以上に自分好みのドライブモード選択が可能となっています。
PHEVとクリーンディーゼルの比較
では、既に登場しているクリーンディーゼルエンジン搭載の『ミニクーパーSDクロスオーバー』と比較してみたいと思います。
”PHEV” ミニクーパーSE ALL4 |
”クリーンディーゼル” ミニクーパーSD ALL4 |
|
---|---|---|
車両価格(税込) |
479万円 |
483万円 |
燃料 |
ハイオク |
軽油 |
駆動方式 |
四輪駆動 (前輪エンジン+後輪モーター) |
四輪駆動 |
エンジン | 1.5L 3気筒ガソリンエンジン | 2.0L 4気筒ディーゼルエンジン |
エンジン出力/トルク | 136PS / 220Nm | 140PS / 400Nm |
モーター出力/トルク | 88PS / 165Nm | – |
システム総出力/トルク | 224PS / 385Nm | 140PS / 400Nm |
変速機 | 6AT | 8AT |
加速 0-100km/h | 6.9秒 | 7.4秒 |
燃費 JC08 | 17.3km/L | 20.8km/L |
荷室容量 | 405L | 450L |
最大トルクはディーゼルが優れていますが、0-100km/h加速はPHEVが優れています。これはエンジン回転数に関係なくアクセルを踏んだ瞬間から最大トルクを発揮できるモーター特性によるものです。
車両価格はPHEVがディーゼルに比べて4万円安く、さらにCEV(クリーンエネルギー自動車)の購入補助金が20万円交付されますので、価格差は24万円という事になります。
PHEVのメリット&デメリット
PHEV |
メリット ・発進加速に優れる ・EV走行では燃料を消費しない ・振動やエンジン音が少ない |
デメリット ・EV走行の航続距離が限られる ・車重が重くなる ・荷室が狭くなる ・充電出来る環境が必要 |
---|---|---|
クリーンディーゼル |
メリット ・発進加速に優れる ・燃費が良い ・燃料が安い(軽油) |
デメリット ・振動やエンジン音が大きい ・近場へのチョイ乗りに不向き |
PHEVとディーゼル、どちらも発進加速に優れていて、燃費もいいことがメリットと言えます。
しかしディーゼルエンジンの場合、燃費効率や環境性の高さをを最大限に発揮する為には、完全にエンジンが温まった状態(暖機状態)で走る必要があります。なので、近所の買い物などチョイ乗りでは燃費効率も悪くなってしまい、エンジン内部にも煤が溜まりやすいというデメリットがあります。
その点、PHEVは最大「42.4km」までEV走行が可能なので、近場であればバッテリーだけで十分賄えてしまいます。夜間に充電を行えれば、ほぼガソリン代がかからない生活ができてしまう訳ですね。
また、PHEVはディーゼルエンジンとは比べものにならないほど静かです。EV走行モードでは殆ど音がせず、エンジン始動時の振動や騒音もかなりマイルドな乗り味です。この静寂性の高さは高級志向の新型クロスオーバー(F60)の魅力をより引き出してくれているのではないでしょうか。
バッテリー充電の注意点
このようにかなり魅力的でメリットばかりに感じるPHEVですが、購入前には注意も必要です。
バッテリー充電には200V電源が必要となるため、家庭用の100Vコンセントからそのまま充電することはできません。200V用充電機器の設置工事は別途10万円程度の費用が掛かりますので、イニシャルコストは車両価格+αと考えていた方がいいでしょう。
と言うか、そもそも駐車スペースに充電設備を設置できる環境は『自宅ガレージ』ぐらいに限られてしまうので、マンション住まいの方や賃貸駐車場を利用している方は慎重に検討した方が良いかと思います。なお、高速のサービスエリアに設置されているCHAdeMO規格の『急速充電器』には非対応となっていますので、こちらもご注意を。
PHEVとディーゼルのランニングコストを比較
MINI Cooper S E Crossover ALL4の一回の充電にかかる電気代は、夜間電力のお得なプランで100円弱。満充電で走行できる距離を42.4kmとすると、10回分1,000円で走行できる距離の合計は約424km。使用状況や条件によって異なりますが、同じ距離を走行するコストではモーターだけで走行した場合、PHEVはディーゼル・ガソリン車の1/2程度になります。 ※参照元:MINIオフシャルサイトより
MINIディーラーの発表では、一回の充電に掛かる費用は100円程度。フル充電の状態からEVモードだけで走行できる距離は「42.4km」となっていますので、片道20km程度であればEVモードだけでまかなえてしまう計算です。週5日/月20日の勤務に利用したとしても一月の燃料(電気)代は2,000円で済む事に訳です。同じ距離をクーパーSDで走ると約3,900円の燃料代が掛かりますので、これは安い!
とは言え、これはあくまで理想の自宅ガレージで毎日充電できる方に限られます。では、充電環境がない場合はどのようになるか計算してみましょう。前提となる燃料代は以下の通りです。
燃料代 |
ハイオク:132円/L 軽油:102円/L |
---|
※2017年7月時点/全国平均
年間走行距離5,000kmの場合
ミニクーパーSE |
ミニクーパーSD (クリーンディーゼル) |
|
---|---|---|
燃料使用量 |
5000÷17.3=289.01L |
5000÷20.8=240.38L |
年間で必要となる燃料代 |
289.01L×132円=38,149円 ≒ 約38,150円 |
240.38L×102円=24,518円 ≒ 約24,500円(13,650円お得!) |
年間走行距離10,000kmの場合
ミニクーパーSE |
ミニクーパーSD (クリーンディーゼル) |
|
---|---|---|
燃料使用量 |
10000÷17.3=578.03L |
10000÷20.8=480.76L |
年間で必要となる燃料代 |
578.03L×132円=76299.96円 ≒ 約76,300円 |
480.76L×102円=49,037円 ≒ 約49,000円(27,300円お得!) |
え・・・、なんとディーゼルの方がランニングコストは安くなりました。とは言えこのサイズの車でこの燃費は十分驚異的かと。ただ、500万円近い車両価格を考えたら、年間でこの程度の差額は誤差の範囲かと思います。
このようにPHEVの魅力を最大限に発揮するには『自宅ガレージなど充電環境を確保できる事』と『一度の走行距離が短い事』が条件になるようですね。
もちろん、静寂性や先進的なパワートレーンである事にバリューを見出す事が出来るかと思いますので、購入前には試乗してディーゼルとの乗り味を比べてみるのが良さそうですね。
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