
既に報道されているのでご存知の方も多いかと思いますが、今回発表された新型クロスオーバーにMINI史上初となるプラグインハイブリッドモデルが設定されました。前回のブログでも少し触れていましたが、今回はミニ初のプラグインハイブリット(PHEV)についてもう少し深掘りしてみようと思います。

サイドスカットルからプラグイン!

今回発表されたのは、新型ミニクーパーSEクロスオーバーALL4。
1.5Lの直列3気筒ターボ付きガソリンエンジンに電気モーターを組み合わせ、外部充電プラグを備えたプラグインハイブリッド(PHEV)となります。
新型ミニクラブマン(F54)やBMW X1などでも採用されているUKL2プラットフォームを採用。またエンジンによる前輪駆動と、電気モーターによる後輪駆動からなる4輪駆動のシステムは、BMW i8と同じ(※)コンセプトとなり、EV走行でもミニらしいスポーティーな走りが実現できるとのこと。(※i8は電気モーターで前輪駆動、エンジンで後輪駆動)


家庭用コンセントからも充電可能な外部接続端子は、ミニのデザインアイコンのひとつでもあるボディ左前の「サイドスカットル」の位置に設置。Electricの「E」がデザインされた丸型エンブレムを開くと端子が現れます。F系の第3世代よりガソリンの給油口は右側となった為、電気は左から、ガソリンは右からの補充ということになります。

ちなみに7.6kWhの大容量のリチウムイオンバッテリーと、容量35Lのガソリンタンクは後部座席の下部に収納。それに伴いガソリンモデルと比較して後部座席座面が少し高くなっている他、トランク容量も若干減っているようです。しかし、現行モデルよりもサイズや容量が拡大している為、「狭い!」と感じるレベルではなさそうですね。現行クロスオーバーとの比較は前回のブログをご覧下さい。
EVとHVのイイトコ取りをしたのがPHEV

ここまできて今更ですが、エコカーの話になるとよく出てくる略称を簡単にまとめてみました。
ZEV(Zero Emission Vehicle)
排出ガスを一切出さない自動車。エコカーの最終目標。
EV (Electric Vehicle)
電気自動車。その名の通り電気だけで走行する車。充電プラグで電気を補給。燃料(電気)代が安く、環境にも優しい。家庭用電源からも充電可能だが充電時間が長い。航続可能距離が短く、長距離の運転にはあまり向かない。
HV (Hybrid Vehicle)
ハイブリッドカー。ガソリンと電気それぞれを使用し走行。走行中のエネルギーを電力に変換し充電。
PHEV (Plug-in Hybrid Electric Vehicle)
プラグインハイブリッドカー。ハイブリッドカーの特徴に加え、充電プラグでの充電も可能。
PHV (Plug-in Hybrid Vehicle)
PHEVと同意語。メーカーによる呼称の違い。
実はこの“プラグイン”という部分がとっても重要。
・電気自動車のように、家庭用電源などからEV用バッテリーを充電可能
・ハイブリッドカーのように、ガソリンで走行中に発電した電気をEV用バッテリーに充電可能
・電気切れになった場合もガソリンで走行可能。もちろん逆も然り。
・ハイブリッドカー(HV)はエコカー減税の対象外になる場合もあり(米カルフォルニア州では2018年モデル以降対象外)
このように電気自動車(EV)やハイブリッドカー(EV+ガソリン)のイイトコ取りをしたのがプラグインハイブリッドというわけですね。
選べる3つのドライブオペレーション

インストルメントパネルに新たに追加されたeDriveのトグルスイッチ。ボタン操作ひとつで下記の3つのドライブオペレーションの選択が可能となっております。
AUTO eDRIVE
完全なEV走行。通常このモードに設定されており、最高速度は80km/h。
これ以上の高速走行時、急加速時、積載荷重が非常に大きい際、またEVバッテリーの残量が7%未満の際には自動的にガソリンエンジンが始動。
MAX eDRIVE
完全なEV走行。最高速度は125km/h。
これ以上の高速走行時、またはキックダウン時は自動的にガソリンエンジンエンジンが始動。
SAVE BATTERY
EVバッテリーは使用せず、ガソリンエンジンでの走行。また、ブレーキ回生システムにより走行中のエネルギーを電力に変換し、EVバッテリー容量の90%以上充電が可能。

この機能に加え、新型ミニ(F系)より採用されているミニドライビングモードにより「グリーン」「ミッド」「スポーツ」のモード切替もできるので、シーンに合わせ今まで以上に自分好みのドライブモード選択が可能となりました。(写真はF56)
欧州のPHEV事情
欧州では、2021年までに新車モデル1台あたりのCO2排出量を95g/km以下にするよう、2013年に欧州委員会(EC)により定められました。これは目標ではなく義務であり、違反した場合は罰金といった厳しい措置がとられる為、各メーカーがゼロエミッションビークルの研究開発に力が入っているのも納得できます。ちなみに2015年の欧州のCO2排出量規制は、130g/kmだった為、95g/kmという数字は非常に難しい目標設定となっています。

完全なゼロエミッションビークルが登場するまでの間、このPHEVがミッション達成のカギになるとされており、各自動車メーカーからPHEVモデルが続々と登場しているそうです。MINIも今回の新型ミニクーパーSEクロスオーバーALL4を皮切りに、今後は積極的にPHEVモデルを導入してくるのではないでしょうか。
ライバルとなる他社PHEVモデルと比較

同じBMWグループからはPHEVモデルのスポーツカーとしてBMW i8がまず思い浮かびますが、その価格は1,991万円!!!さすがに「ライバル車種」とは言い難いので、今回は輸入車で既に市販化されている車種に絞り、以下の3台を選出し比較してみました。
フォルクスワーゲン Golf GTE

フォルクスワーゲン初のプラグインハイブリッドモデル。ミニと同じ輸入車プレミアムコンパクトセグメント。長く愛され続けているGOLFはまさにミニのライバルといえる。
メルセデスベンツ C350eアバンギャルド

ベンツS550eに続き、Cクラスにも設定されたプラグインハイブリッドモデル。デザインやモデルとしてミニと比較検討されることは少ないが、プラグインハイブリッドに条件を絞ると候補に挙がってくるのでは?
BMW X5 xDrive40e

BMWがi8に続くプラグインハイブリットの市販モデルとして発表したのがこのX5 xDrive40e。大型SUVのPHEVということもあり、今回の新型クロスオーバー(F60)の上位車種となりえるモデル。
それでは新型クロスオーバーのスペックから。
新型ミニクーパーSEクロスオーバーALL4
全長×全幅×全高(mm) | 4299×1822×1557 |
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排気量 | 1499cc |
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燃料/タンク容量 | ハイオクガソリン/35L |
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電池/容量 | リチウムイオンバッテリー/7.6kWh |
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エンジン出力/トルク | 136ps / 220Nm |
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モーター出力/トルク | 88ps / 165Nm |
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システム総出力/総トルク | 224ps / 385Nm |
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0~100km/h加速 | 6.9秒 |
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駆動方式 | 4WD |
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EV走行/最高速度 | 125km/h |
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EV走行/走行可能距離 | 最長40km |
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CO2排出量 | 49g/km (EUテストサイクル時) |
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平均燃費 | 47.6km/L (EUテストサイクル時) |
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充電時間 | 2時間15分(Wallbox 3.6kW) / 3時間15分(家庭用コンセント) |
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気になる価格は・・・
新型ミニクーパーSEクロスオーバーALL4は価格がまだ発表されていない為、同じBMWグループから発表されたX5 xDrive40eを参考に価格を予想してみました。X5は同モデルのディーゼルエンジンであるX5 xDrive35d SEの価格が878万円なのに対し、プラグインハイブリットであるX5 xDrive40eは949万円と、71万円の価格アップとなっています。
新型ミニクーパーSクロスオーバー(F60)の価格が390万円~410万円と予想されてる為、車格が小さくなるということもあり、新型ミニクーパーSEクロスオーバーは470万円。そこにALL4の20万円を上乗せした490万円前後になるのではないかと予想しました。
ライバル車種スペック
| フォルクスワーゲン Golf GTE | メルセデスベンツ C350eアバンギャルド | BMW X5 xDrive40e |
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全長×全幅×全高(mm) | 4265×1800×1480 | 4690×1810×1430 | 4910×1940×1760 |
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排気量 | 1394cc | 1991cc | 1997cc |
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燃料/タンク容量 | ハイオクガソリン/40L | ハイオクガソリン/50L | ハイオクガソリン/83L |
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電池容量 | 8.7kWh | 6.28kWh | 9.2kWh |
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エンジン出力/トルク | 150ps / 250Nm | 211ps / 350Nm | 245ps/350Nm |
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モーター出力/トルク | 109ps / 330Nm | 82ps/340Nm | 113ps/250Nm |
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システム総出力/総トルク | 204ps/350Nm | 279ps/600Nm | 450Nm |
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0~100km/h加速 | 7.6秒 | 5.9秒 | 6.8秒 |
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駆動方式 | FF | FR | 4WD |
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EV走行/最高速度 | 130km/h | 130km/h | 120km/h |
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EV走行/走行可能距離 | 最長53.1km | 最長28.6km | 最長31km |
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CO2排出量 | 98g/km(※1) | 49g/km(※3) | 94.4g(※1) |
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平均燃費 | 23.8km/L(※2) | 17.2km/L(※2) | 24.6kmL(※2) |
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価格 | 469万円 | 707万円 | 949万円 |
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※1 JC08モード 国土交通省審査値 ※2 JC08モード走行燃費値換算 ※3 EU複合モード
そもそもボディタイプも価格帯も違うわけなので、比較というのも今更ながらおかしい話ですがw
価格はGolf GTE<新型クロスオーバー<ベンツC350eとなるのではないかと思います。
また、車格が上位車種となるBMW X5 xDrive40eの存在があるからこそ、コンパクトSUVのPHEVである新型クロスオーバーは、その存在自体に大きな需要がありそうです。
ハイブリッドのエコな走りだけでなく、SUVの力強さとミニらしいドライブフィーリングを追求した新型クロスオーバー。もしかすると走りも価格も「ちょうどいい」クルマになのかもしれません。
カタログ値では当初達成困難とされていた欧州の2021年のCO2排出目標値95g/kmにかなり近づいているので、今後も順調に研究開発が進めば近いうちに目標を達成できるのではないでしょうか。
いつまでガソリン車に乗れるか

輸入車のフルモデルチェンジは多くの場合7年毎に設定されています。ミニもこれまで2007年、2014年にフルモデルチェンジを行いましたので、タイミング的には次回のフルモデルチェンジは2021年。まだ少し先の話にはなりますが、次期モデルとなる第4世代のミニにガソリンエンジンは設定されるのでしょうか?もしかするとその頃には全てのモデルがEV、もしくはPHEVへシフトしているかもしれません。
「いつかはミニ」とお考えの方も、あまり悠長にしているとミニのガソリン車は新車購入できなくなるかもしれませんよ!!
【MINI公式/PHEV紹介動画】(英語)
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