MINI BLOG上田純一郎(Wedge! Editorial Works)

MINI BLOG

2021.04.16公開 / 2021.04.18更新

BMWミニ・クーパーDクラブマンに乗って 桜のトンネルを探しにいった

強い春風の吹いた翌朝、ミニ・クーパーDクラブマンで桜の名所を回る、ショート・トリップへ。
すでに桜は散りかけていたが、最後に訪れた埼玉のとある堤防で、見事な桜吹雪に巡り会うことができた。

mini_clubman

 

いにしえの桜の記憶

いちばん古い桜の記憶は、クルマのリア・シートからの景色だった。
保育園へ向かう途中の、古い神社の横の坂道。

mini_clubman

 

チャイルド・シートどころかシート・ベルトの規制すらない、おおらかな時代のことだ。
後席の足元は幼い弟や妹がはまってしまわないよう、古い毛布が詰め込まれ、まるで小さなベッドのようになっていた。

弟妹と一緒になって寝転んでいると、カーブでクルマが揺れるたびに身体が転がり回って、きゃっきゃっと面白がったものだった。

 

mini_clubman

 

「ほら、桜のトンネルみたいでしょ」

道の両側にあった桜の下を走りながら、母が後ろの子供たちを一瞬振り返る。
もはやその表情は、記憶の彼方だ。
けれど、桜色に染まっていた空を、今も覚えている。

保育園時代の記憶として残っているのは、もう桜と、母の言葉だけかもしれない。
あのトンネルは、まだあるのだろうか。

風の強い日が続き、東京の桜がほとんど散ってしまったある朝。
僕はミニ・クーパーDクラブマンに乗って、桜のトンネルを探しに出かけた。

 

不思議な愛されキャラだった旧型クラブマン

ミニ・クラブマンとはじめて対面したのは、2015年秋の東京モーターショーの会場だった。

 

mini_clubman

幼い頃の桜のトンネルを思えば、つい最近なのだけど、もうそんなに前のことなのか、とちょっと驚く。

あれは一般公開日で、ドアを開けて、自由に乗り込むことができるようになっていたせいもあり、たいそうな人気ぶりだった。
長い順番待ちの列に並び、ようやく座ってじっくり眺めて思ったのは、これくらい新旧で様変わりしたクルマもなかなか珍しいな、ということ。

 

思えば旧型ミニ・クラブマンは、不思議なクルマだった。

 

初代ミニクラブマン(R55)

初代ミニクラブマン(R55)

 

基本はミニ3ドアの全長を延ばしたステーション・ワゴンなのだけれど、観音開きのドアを車体の右側と後ろ側に加えた、左右非対称構造を採っていた。
右側はクラブ・ドアと呼ばれ、たしかに開口部は大きいが、後席への乗り降りがし易いとは言い難かったし、まして左側通行の日本では、恩恵は少なかった。
でも、荷室は広く、3ドアよりずっと使える空間になっていた。
Cピラーやバンパーの一部をかつてのカントリーマンやトラベラーのウッド・フレームを模して、車体色とは違う塗り分けにするなど、ちょっとフツウとは違うミニ、という立ち位置で人気者になった。

 

真横から見ると、長い車体はまるでダックスフントみたいで、けっして3ドアのようにバランスは良くない。
ぶさいく可愛い、とまでいわないけれど、けっしてハンサムじゃない。
なんとなく憎めない存在。
それが旧型のミニ・クラブマンだった。

 

隙がなくハンサムな今のクラブマン

それに比べると今のクラブマンは、どこにも隙がなくハンサムな、いわば王道を行くスタイルだ。
その秘密は、車体にある。

 

ベースになったのは、前輪駆動のBMW2シリーズ、アクティブツアラーやグランツアラーと共通の、ワイドな“UKL2”と呼ばれるプラットフォーム。
そう、現在の3ドア/5ドア/コンバーチブルのミニが使う、ナローな“UKL1”とは違うプラットフォームなのだ。
全長4270mm、全幅1800mm、全高1470mmの車体サイズは、3ドアより435mmも長く、75mm幅広く、40mm高い。
けれど実車を前にすると、不思議なことにさほど間延びした感じはしない。
むしろUKL1ベースの小さなミニたちより、幅が広がったおかげでボンネットが分厚く見えず、顔つきのバランスがいい感じだ。

 

クラブマンの象徴ともいえる観音開きのリア・ハッチは継承されたが、ドアは4枚の左右対称のごくフツウのもの。
ちょっとつまらないが、後席の乗り降りは旧型とは比べものにならないくらい楽だ。
トランクの容量は360ℓ(VDA)で、バックレストを倒した状態なら1250ℓまで拡大する。

 

これはもはやフォルクスワーゲン・ゴルフに迫る数値である。
いやはや隙がない。

 

mini_clubman_F54

 

周到な日本仕様のラインナップ

今のクラブマンは、ラインナップの構築も隙がなかった。
まずは2ℓ4気筒ターボで192psのクーパーSと、1.5ℓ3気筒ターボで136psのクーパーの2種類のガソリン・エンジンが導入された。
前者は8段ATだが、後者は当初は6段ATとの組み合わせで、後のマイナーチェンジで7段のデュアルクラッチ式自動MT(DCT)に変更されている。

 

ディーゼル・エンジンは2ℓ4気筒ターボのみで、チューニング違いで150psのクーパーDと190psのクーパーSDの2種類が上陸。
こちらはともに8段ATとの組み合わせとなる。
クラブマンは基本、前輪駆動なのだが、クーパーSは4輪駆動も選べたし、300psオーバーになるジョン・クーパー・ワークス系のモデルはすべて4輪駆動だった。
残念ながらディーゼルと4輪駆動の組み合わせはないが、そこは兄貴分のミニ・クロスオーバーが請け負う

 

見事に仕様が被らない、周到なラインナップだったのだ。

 

過不足ないファミリーカー

mini_clubman

 

隙がないのは見た目とパワートレインだけではない。
前席に座った感じはほとんど小さなミニたちと同じだが、後席は別物だ。
車体がワイドになったおかげで、室内の横方向も100mmほど広がっているが、このわずかな拡大が効いている。

 

実は小さなミニたちの乗車定員は、3ドアとコンバーチブルは4人、5ドアはクラブマンと同じ5人となっている。
でも、5ドアの後席の中央足元にはドリンク・ホルダーがあって実は脚の置き場がないのだ。
5人がちゃんと座るなら、最低でもクラブマン。

 

小さいクルマが欲しい、という人にはクラブマンは向かないかもしれない。
でも、どこから見てもミニである上に、過不足ない広さの荷室と居住性を備えたファミリーカーが欲しいなら、3ドアよりも5ドアよりもクラブマンを選ぶべきである。

mini_clubman

 

ファミリーカーとしてミニを選ぶならクラブマンがイチオシだが、パワーユニットのイチオシは、2ℓディーゼルだ。それもロー・パワーの150psのクーパーDがいい。

安価な軽油が燃料ゆえの経済性に加えて、アイドリングのすぐ上からしっかりトルクが出ているし、8段ATとのマッチングは上々で、中間加速もけっこう鋭く、意外なほど速い。

 

だから桜並木を求め、早朝から赤坂、市ヶ谷、九段下の桜のスポットを回り、昼過ぎに福山雅治の詩で知られる桜坂に辿り付くまで、ミニ・クーパーDクラブマンで混み合った都心をあちこち駆け抜けるのは、まったく苦痛じゃなかった。

 

とはいえ、残念ながら都内の桜は散りはじめていた。
桜のトンネルには、もう出会えないのだろうか。

mini_clubman

 

適度に硬派な感触

仕方なく、高速道路で一気に北上することにした。
街中ではやや耳障りだったエンジン・ノイズが、速度が上がるにつれて気にならなくなっていく。

mini_clubman

旧型のミニ・クラブマンは、スピードが上がると、特にコーナリング中に車体がよじれるような感触が伝わってきたけれど、今のクラブマンは遙かに車体が強固で、そんな感触はみじんもない。

 

電子制御式の可変ダンパーのない、機械式ダンパーのクラブマンに乗るのは初めてだけど、適度に硬派な感触とでもいえばいいのだろうか。
これなら少々元気よく走っても、助手席や後席の家族から不満の声は出なさそうだ。

 

mini_clubman

 

30分ほど走り続けて埼玉に入り、下道へ降りて河川敷に沿ってさらに北へ向かうと、急に視界が真っ黄色になった。
あたり一面、菜の花が咲いている。
しかもその奥に、見事に満開となった、桜並木が続いていた!

 

mini_clubman

風が吹く度に、吹雪のように桜の花びらが舞っている。
桜のトンネルには出会えなかったけれど、母と一緒にこの景色を眺めたら、彼女はどんな表情を見せてくれるだろうか。

ミニらしい愛らしさと走りと、ファミリーカーとして申し分ない実用性を兼ね備えるクーパーDクラブマンは、幸せな家族の笑顔を連想させるクルマだ。

mini_clubman

 

Editor : 上田純一郎(Wedge! Editorial Works)
Photographer :  髙木 亮


MINI BLOG

2021.02.24公開 / 2021.02.24更新

ミニが大幅フェイスリフト!いつ日本に来るの? いったいどこが変わってどこが変わらなかったの? 

 

 

2021年1月27日、ミニが「次の段階に進化した」という発表がありました!

対象になるのはF55、F56、F57系、つまり3ドアと5ドア、そしてコンバーチブル

2018年の変更以来、これで2度目のマイナーチェンジとなります。BMW的にいえば、Lci(ライフ・サイクル・インパルス)モデル、ということですね。

日本市場における正式な発表はまだですが、本ブログではまずはこの一報をうけ、進化したミニについて、いったいどこが変わって、どこが変わらなかったのか、ちょっと考察してみたいと思います。

 

 

 

変わったのは3ドア&5ドア&コンバーチブル

まず、今回の変更、対象となるモデル・バリエーションは以下の通りです。

クロスオーバー(欧州名カントリーマン)、クラブマンは変更がありません。

 

ミニ3ドア(ワン、クーパー、クーパーS、クーパーSE、John Cooper Woks)

ミニ5ドア(ワン、クーパー、クーパーS)

ミニ・コンバーチブル(ワン、クーパー、クーパーS、John Cooper Woks)

 

パワーユニットについてはディーゼル・エンジンがなくなり、ガソリン・エンジンないしはバッテリー+モーターの電気自動車というラインナップに。気になるのはワンとクーパーはそれぞれ1.5ℓ3気筒の75psないしは136ps仕様と変化がありませんが、不思議なことにクーパーSの2ℓ4気筒だけ従来の192psから178psへと14ps低下しています。ユーロ6dという現在の排出ガス基準に対応するためのパワー・ダウンかもしれません。ただしJohn Cooper Woksについては231ps仕様と変化なし。日本市場がどのような車体とグレード、パワートレインの組み合わせになるかは現時点では分かりませんが、欧州市場ではガソリン・エンジン車は基本、7段のデュアル・クラッチ式自動MT(DCT)と6段MTの設定があり、上位のJohn Cooper Woksが8段ATとなるのも変わりません。ここはぜひ、日本では選べなくなってしまった6段MTの再上陸を期待したいところですね。

 

電気自動車のクーパーSEに関しては、実は2019年の7月にはすでに欧州で登場していましたが、日本市場には導入されていませんでした。3ドアのみで、バッテリー容量は32.6kWhとかなり小さめ。航続距離は230kmほどですから、最近愛らしい見た目で注目されているホンダeのような、都市型のコミューターとして特化したミニといえるでしょう。

 

 

新しいミニは第4世代のマーク3?

 では、ここからはちょっとマニアックな視点で新型ミニを見ていきます。

 

 

 

まずは上の写真。新旧ミニ3ドア・クーパーの比較ですが、どこが違うかではなく、名前が気になりました。公式写真のこの名前、実は「Comparison MINI Cooper Generation4 MkⅡ with MINI Cooper Generation4 MkⅢ」といいます。“Comparison”は“比較”という意味ですね。ジェネレーション4というのは、クラシック・ミニとBMWミニを合わせて4世代あるということ。そして、その後に続くマーク2やマーク3という表記から、2014年以降のBMWミニを3つの世代に分けていることを示しています。

 

 

ということは、ヘッドライトのLEDが逆U字型で、テールランプがユニオンジャックでない初期のモデルはジェネレーション4のマーク1ということですね。なんだかまるでクラシック・ミニの表記みたいで懐かしいじゃないですか。

 

 

 

マーク1からマーク2へ変わった時はさほど変化を感じませんでしたが、マーク2からマーク3はずいぶん印象が変わりました。

誰もが気がつくのはまずは前後バンパー。ミニを率いるBMWグループのデザインは、BMW 4シリーズや7シリーズを見るとよく分かりますが、グリルを巨大化するなど、より押し出しの強いデザインを採用する方向に進んでいます。

 

マーク3がグリル内のボディ同色部分を増やし、フォグランプを廃止したのは、この考え方に準じているということなのでしょう。縦型のエア・インテーク・ダクトなども含め、よりモダンでキュートになった印象ですが、特に車体色が明るいと、フォルクスワーゲン・アップ!に似ているような気が。VWアップ!が出た時は明治のお菓子のカールおじさんみたいだとも言われました。ここは賛否が分かれそうです。

 

2020年11月に登場したミニのミニバン・コンセプト、ミニ・ビジョン・アーバナウトのスタイリングは、この新型ミニのための先行イメージだったのかもしれません。

 

 

ミニ・ビジョン・アーバナウトは、全長4.46mとミニ史上最大のモデル。グリルの左右ラインがまっすぐ下に降りているあたり、新しいミニと似ているような気がしませんか?

 

灯火類は遠目からは同じように見えますが、ヘッドライトは内部ハウジングがクロームからブラックになり、ハンドルを切った方向を照らしたり、対向車を感知して自動でハイビームにしたりロービームにしたりと多機能に(オプション装備)。サイド・マーカーやリア・フォグランプもLEDになっています。このあたりまで徹底してパーツを変更していけば、マーク1や2オーナーも、マーク3仕様にできるかもしれませんね。

 

マーク1ヘッドライト

マーク2のヘッドライト

 

今回登場するマーク3のヘッドライト。ライトの内部構造は完全に別物です。

 

 

エクステリア以上? インテリアは大幅に進化!

マーク1やマーク2、外観はある程度マーク3仕様に変更することも可能そうですが、内装はなかなか難しそう。それくらい変更カ所が多いのです。

まずはドライバー正面の5インチ・ディスプレイ。2020年に登場したミニJohn Cooper Woks GPで採用されたものと同じでオプションですが、かなり印象が変わっています。

また、ステアリング・ホイールと左右の空調吹き出し口が新デザインに。またセンター・メーター左右の空調吹き出し口はパネルと一体型になっています。ここは残念ながらコスト・ダウンを狙ったのかもしれません。

 

長距離を走ることの多いミニ・オーナーにとってうれしい、自動追従式のクルーズ・コントロールに渋滞時などでも対応するストップ&ゴー機能が追加されました。ただしブレーキを踏むなどして1度解除してしまうと、再設定ができるのは車速が30km/hからなのは従来通りです。また寒冷地のミニ・オーナーには待望のステアリング・ヒーターも、ミニ・シリーズでは初のオプションとして設定されています。

 

 

内外装のカスタマイズの幅はパッケージ化され、さらに種類が増えていますが、これはミニならばむしろ当然のこと。注目すべきはマルチトーン・ルーフでしょうか。新しい塗装技術によって実現したそうですが、3種類のカラーが連続で変化していく、いわゆるグラデーション模様は斬新のひとこと。より個性を求めるオーナーにとって、面白い選択になるのではないでしょうか。

 

 

ミニ・デザイン責任者のオリバー・ハイルマー氏とマルチトーン・ルーフ。生産工程は機械化されているが、カラー・パターンはわずかにバラつきが出る。「唯一無二の存在で、鑑賞に値します」とは彼の弁。

 

 

走りも進化! 機械式のアダプティブ・サスペンション

新しいミニのもう1つのトピックは、ゴーカート・フィーリングと呼ばれる特有の走りを再定義したこと。これを実現した最大の要因が、電子制御式でない、機械式のアダプティブ・ダンパーです。ドイツの巨大サプライヤー、ZFが以前からアピールしていたものと思われますが、ライド・コンフォートとハンドリングという、いわば相反する性能を両立させています。このダンパーは周波数感知式と呼ばれており、たとえば石畳や砂利道などの連続した入力を高周波数として感知し、減衰力をわずか50〜100ミリ秒以内でコントロール。機械式なので複雑な電子制御プログラムを必要とせず、安価なのもポイントです。

ミニ・ワンおよびミニ・クーパーSE以外のすべてのモデル・バリエーションに標準装備となります。もちろんセッティングの違いはこのダンパー以外にもあるでしょうけれど、マーク1やマーク2オーナーも、純正部品を取り寄せ、交換できる可能性はあるかもしれませんね。

 

駆け足で注目点をご紹介してきましたが、新しいミニはいかがでしたでしょうか。日本仕様についてのグレードや価格などの続報は、3月2日(ミニの日)あたりに動きがあるのではないかと予想されます。期待して待ちましょう!

 

なぜ、いまフェイスリフトなのか?

最後になぜこのタイミングでフェイスリフトしたのか、少し考えてみましょう。

2001年に登場したBMWミニは進化を続け、2008年に第2世代、2013年には第3世代とへ代を重ねてきました。このスケジュールから、およそ5〜7年でフルモデルチェンジが行われていることがわかります。つまり、順当にいけば第4世代ミニが登場するのは2020年ごろだったのです。ところが2020年10月、「将来のドライビング・プレジャーに向けたeモビリティ:ミニ・モデルラインナップの未来」というタイトルで、今後のミニについて発表がありました。

 

この時公開された、未来のミニについてのポイントは、次の4つです。

  1. 各国の市場の状況に応じて、ガソリンやディーゼルなどの内燃機関のミニは継続します

  2. プラグイン・ハイブリッドのミニ・クーパーS EクロスオーバーALL 4、電気自動車の3ドアのミニ・クーパーSE(日本市場未導入)に続いて、John Cooper Woksや、ほかのモデルでも電動化を進めます。

  3. ミニ・クーパーSEに続く電気自動車のミニとして、次期ミニ・クロスオーバーと、それよりやや小型のクロスオーバーが登場します(ただし内燃機関のモデルもあり)。

  4. 長城汽車と協力し、2023年より電気自動車の新プラットフォームを採用したミニが中国国内で生産を開始します。

 

1と2は電動化へのロードマップとしては順当なものですね。電気自動車版のJohn Cooper Woksの開発を行っていることも、すでに発表されています。

 

マイナーチェンジ前のミニ・クーパーSEとミニクーパーS Eクロスオーバー

 

ニュルブルクリンクを走るのは開発中のJohn Cooper Woksの電気自動車バージョンで、グリルがクーパーSE同様に閉じている

 

驚きなのは3と4です。おそらくミニ・クロスオーバー後継の2つの新型モデルと、電気自動車のミニの新プラットフォーム開発は一緒に行われ、中国での生産設備まで含めて非常に大規模な投資となります。これに注力するため、第4世代ミニの登場は先送りされ、現在英国で生産されている3ドア、5ドア、コンバーチブルのフェイスリフトが行われたのではないでしょうか。

 

近ごろ急激な電動化に対する様々な議論が巻き起こっています。でも、BMWは電動化を進めるいっぽうで、内燃機関の可能性も捨てていないことがわかります。あくまで電動化は選択肢の1つ。おそらく日本市場にも、電気自動車のクーパーSEがまず投入されることでしょう。エンジンと電気のどちらが楽しくて、自分のライフスタイルに合っているのか、新しいミニに触れるのが、今から楽しみです。

 

上田純一郎(Wedge! Editorial Works)